Copyright © Jリーグの理念を実現する市民の会, All rights reserved.

  • w-facebook

Report

スペシャルトークイベント

「サッカーはさいたまに根付いたのか」

令和2年1月11日 浦和コミュニティセンター多目的ホール

クラブや選手が街に溶け込むためには
 

一般社団法人Jリーグの理念を実現する市民の会は、2020年1月11日土曜日に浦和コミュニティーセンター10F多目的ホールにて、スペシャルトークイベント「サッカーはさいたまに根付いたのか」(後援:さいたま市、公益財団法人埼玉県サッカー協会)を開催した。

 

ゲストに村井満さん(Jリーグチェアマン)、原博実さん(Jリーグ副理事長)、司会には芸能界一のサッカー好き平畠啓史さんを迎えて行われた。

 

浦和高校サッカー部でGKとしてプレーした村井さん、浦和レッズの選手、監督なども務めた原さんと、浦和のサッカーに縁のある二人が、当時の浦和での高校サッカーや浦和レッズがJリーグ開幕とともにやってきた時の盛り上がりなどを振り返った。高校サッカーでは学生はもちろんのこと、割烹着を着たお母さんまでがグラウンドまで駆けつけて応援していた熱気があり、Jリーグが始まっても、プロサッカーを誘致しようとした地元と浦和レッズが、チームの成績こそ振るわなくともJリーグ屈指の熱狂を生み、サポーターとスタジアムの盛り上がりは独特の雰囲気を放った。

 

その当時の街中(まちなか)での活況を考えると、現在はホームゲーム開催を浦和の中心地から離れた埼玉スタジアムに移したことも影響してか、スタジアムの熱が街まで伝わり切っていないのではないかという話に推移していった。その中で村井さんと原さんは、以前Jリーグと世界のサッカーに精通している日本代表選手の長谷部誠選手、岡崎慎司選手、吉田麻也選手、川島永嗣選手らを訪ねて色々と話を聞く機会をつくり、様々なエピソードを語ってもらったという。

 

取材場所は、決まって彼らがよく行く街中のレストラン。その場所での彼らの立ち居振る舞い、雰囲気を見て、それらの選手が街に溶け込んでいる様子が伝わってきたそうだ。また、その後のスケジュールを聞くと、チームの行事として街で遊ぶ予定がビッチリと入っていて、自然とクラブチームが地域に溶け込んでいることが実感できたそう。そんな所にもヒントがあるのではないかという話だった。

フィロソフィーの言語化が重要になる


埼玉スタジアムの熱気を街中にも伝え、そこからスタジアムに足を運ぶ人を増やしていくためには何をすべきか。必ずしもチームの成績が良いことだけが入場者数の増加に結び付くわけではない。Jリーグ全体を見まわしてみると、競技順位に関わらず、入場者数が伸びているクラブがある。特に名古屋グランパスはJ2降格を経験して、リーグ順位が振るわなかった昨季に於いても入場者数が増加傾向にあるそうだ。

その中で村井さん、原さんが今、大事なこととして挙げたのはクラブごとのフットボールフィロソフィー(哲学)の言語化だ。J3ブラウブリッツ秋田の例では、地域性を出したチームコンセプトづくりに言及。秋田という地域は雪が多いので耐える時間が長いが、夏になると集中的にお祭りや花火大会などで盛り上がる。そんな気候、文化、風土、人々にあわせることを考えて、我慢強く守り、大事な時に力を出すことをフィロソフィーとしているそうだ。

 

ヴィッセル神戸のように強烈なオーナーシップがクラブをけん引しているケース。川崎フロンターレのように親会社である富士通が支えながらもうまく連携をとっている形。そして、浦和は世界に誇れるサポーター・地域市民がクラブを突き動かしている。クラブの成長には色々なパターンがある。クラブの色、フィロソフィーはクラブの数だけある。「浦和レッズでいえば、Jリーグ開幕の頃は上手くなかったけれども、必死にプレーする姿があった。そこに共感して盛り上がったこともある。そんな浦和の良さを考えて、勢いを取り戻すタイミングにきている」と原さんが激励した。

さいたまダービーを使った『シャレン!』で、さいたま市を盛り上げる


また、さいたま市には『さいたまダービー』がある。村井さんはチェアマンになる以前のアイディアで、壮大なダービーをやろうと市民レベルで考えていたことを明かした。それは、浦和と大宮で囲碁対決、カラオケ大会をやったり、学校でバレーボール、ドッチボール大会をやったり、と、色々なダービーをして盛り上がるという企画。そして、その最終戦の位置付けで浦和レッズと大宮アルディージャのダービーをやると、サッカーに興味がない人もダービーには関心があってスタジアムに足を運ぶ。それぞれのカラーを出しながら切磋琢磨することで、さいたま市が盛り上がるのは面白い。転勤してきた人が街にきた時に、この街は面白いと思わせることがあると一体感が出るのではないかと語った。

 

川崎フロンターレのホームタウン川崎市はもともと東京と横浜に挟まれたベットタウンで、地域のアイデンティティがなく、プロスポーツが根付きにくい土地と言われていた。そこでフロンターレは本気になって色々な地域連動型企画を展開した。チーム名にかけてお風呂屋さんと共同企画を打ったり、小学校で使われる算数ドリルに選手たちを登場させたりと、地域で様々なことをすることで、クラブが川崎市のアイデンティティとなっていった。他にも共通の危機感を持つ地元とクラブが連携して様々な施策を行っている。クラブを使って街をつくる。そういうクラブも出てきているという話だった。Jリーグでは『シャレン! Jリーグ社会連携活動』という取り組みがあり、地域の活性化やまちづくりにJリーグを使うことを推進している。

 

さいたま市においても、両クラブを使ってこの街をどうしたら良いかということを考えてもよいのではないか。クラブを使って、こんなことが出来たら面白いんじゃないかとみんなで話をしていくと、もっと市民レベルでサッカーが盛り上がるのではないか。他の地域は色々なやり方でサッカーを使ったまちづくりが浸透し始めている。浦和も大宮も頑張ろう。最後にさいたまへのエールをいただいて会は終了した。